メタボリックシンドロームの原因
メタボリックシンドロームは、1999年に世界保健機関(WHO)に肥満と動脈硬化の危険因子が組み合わさった病態をインスリン抵抗性の観点から整理し、メタボリックシンドロームの概念と診断基準を提唱しました。その後、さまざまな機関がそれぞれの診断基準を提唱したため、メタボリックシンドロームの考え方にはいろいろなものがあります。また、メタボリックシンドロームの基準は国によっても異なります。エネルギー過多と運動不足がメタボリックシンドロームを招きます。また、バランスの欠如とともに問題視されているのが、不規則な生活習慣。不規則な生活習慣は運動不足を招き、間食の食べ過ぎやどか食いなどを誘発し結果的にメタボリックシンドロームの予備軍となります。日本人の死因の第2位は心臓病、第3位は脳卒中です。この2つの病気は、いずれも動脈硬化が原因となって起こることが多くなっています。動脈硬化を起こしやすくする要因(危険因子)としては、高血圧・喫煙・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)・肥満などがあります。これらの危険因子はそれぞれ単独でも動脈硬化を進行させますが、危険因子が重なれば、それぞれの程度が低くても動脈硬化が進行し、心臓病や脳卒中の危険が高まることがわかっています。内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることにより、心臓病や脳卒中などになりやすい病態です。単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりません。 メタボリックシンドロームの恐ろしさは、そのものにあるのではなく、それが引き起こす様々な疾患にあるのです。
メタボリックシンドロームの診断基準
必須項目 | (内臓脂肪蓄積) ウエスト周囲径 |
男性 ≥ 85cm 女性 ≥ 90cm |
|
内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当 | |||
選択項目 3項目のうち 2項目以上 |
1 | 高トリグリセリド血症 かつ/または 低HDLコレステロール血症 |
≥ 150mg/dL < 40mg/dL |
2 | 収縮期(最大)血圧 かつ/または 拡張期(最小)血圧 |
≥ 130mmHg ≥ 85mmHg |
|
3 | 空腹時高血糖 | ≥ 110mg/dL |
メタボリックシンドロームの食事対策
体重と腹囲のサイズを改善するためには、一日3回の食事をリズムよくとること。そして何よりとりすぎないことが重要です。脂肪の取りすぎは簡易にエネルギー過多を招きます。基本はご飯を中心とした和食が最適です。食事は、主食(ごはん、パン、めん類)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品)、副菜(野菜)で構成されます。主食の重複や主菜の重複は、食べ過ぎにつながります。並べ方を知り、バランスよく摂りましょう。
食生活の改善ポイント
- 一日3回の食事:規則正しいリズムで適量の食事をしっかりとることが、おやつの食べすぎや夕食のどか食いの防止につながります。それとともに、運動で体をよく動かすことが、より良い成長を促し健康を作り出します。
- 高脂肪、高エネルギーに注意:脂肪のエネルギーはたった1gで9kcalもあります。揚げ物や、スナック菓子は、以外に少ない量に押さえていてもエネルギーだけは跳ね上がっているという ことも少なくありません。油の多い食事や菓子類は控えめにするようにしましょう
- 飲み物は甘みの少ないものに:砂糖の多い飲み物は血糖値が上昇するため、さらに喉の渇きを誘います。そして、甘い飲み物をさらに取りたくなります。水分補給はできるだけ、水やお茶などにしましょう。
- 野菜をたっぷり:野菜、海藻類、キノコ、は低エネルギー食品で知られています。しかも、食べごたえもあり、満腹感を得るにはとても良い食材です。
糖尿病を防ぐ食事のポイント
料理 | ポイント | 調理のヒント | |||
主食 | 適量を食べる。パンは菓子パンや調理パンではなく普通のものにしましょう。 | 玄米や麦ごはんなどにすると食物繊維が取れるため、糖や脂肪の吸収をゆるやかにしてくれます。 | |||
主菜 | 1食1品を基本に、肉類だけに偏らずに、魚や大豆製品も取り入れるようにしましょう | 肉や魚の上に野菜や海藻を乗せてオーブンで焼く「ホイル焼き」は低エネルギーでヘルシーなバランスのとれた料理ができるためお勧めです。 | |||
副菜 | 食物繊維の多い野菜類のほか、海藻類、きのこ類も取りましょう。 | ゴボウや、タケノコ、海藻類などはかみごたえのある食品です。よく噛むということは体に食品が体に入るというサインとなり、急激な血糖上昇を防ぐことにつながります。 | |||
その他 | 間食には、果実、牛乳、ヨーグルトなどが最適です |
リンゴ、キウイ、いちごなどの果物にはたくさんの水溶性食物繊維が含まれており、糖尿病予防としては最適です。 |
管理栄養士が食育について詳しく解説
食事のバランスと適量
私たちの周りには、様々な食品があり、好きな時に好きなものを好きなだけ食べる事ができます。しかし、好きな物だけ食べては偏った食事になり肥満や痩せの原因になります。バランスの良い食事を心がけましょう。
成長期の適量の基礎知識
学童期をはじめとする成長期には、体の骨格が急成長します。その際に成長に必要な多くの栄養素を必要とします。しっかりした体を作る為、必要な栄養素はしっかり食事から補給するようにしましょう。
心身の発達と食習慣
食事は、空腹を満たすものと現代の若い人たちは思いがちですが、食事は家族団らんの場でもあります。できるだけ家族で一緒に食事をするようにしましょう。
病気にならない食事
古くから中国では、医食同源という言葉があり、食事は治療の一部であると考えられてきました。しかし、現代社会では過剰な栄養摂取は病気の原因でもあり正しい栄養管理が必要です。
食べた物はどこへ行く?
私たちが食事で摂取したものは、胃腸で消化・吸収をされます。そして、消化吸収されなかったものは便として排泄されます。便の状態で体調を知ることもできます。
食の安全対策
毎日の食事が安全で安心して楽しめるように色々な仕組みで衛生的な食品を供給する事ができます。そんな仕組みについて説明をしています。